・備忘録
木屋の加藤俊男さんの著書。
ふりがなが多く児童用の体裁をとっているが、
内容に関しては大人が読んでも難しいレベルで、
刃物の入門書としては最適な本。
刃物の歴史、包丁、はさみ、手入れ法と
刃物に関しての概要を学べる。
また、引き切りと切れ味の関係まで、
図を使って述べているので分かりやすい。
以下、参考になった文章を抜粋します。
P23
刃の厚さがうすい、つまり、くさびの先端の角度が小さいほど
切れ味はよくなりますが、やたらとうすくすることはできません。
うすくすればするほど弱くなってしまうからです。
そのため、切る目的に合わせていろいろな包丁があるわけです。
ただし、刃が厚い包丁でも、うすい刃と同じような
はたらきをさせることができます。
それは、「引き切り」することです。引き切りをすると、
刃の断面のくさび型は、細長くなったのとおなじことになるのです。
P44
水気や塩気などのよごれがついていると、とくにさびやすいので、
包丁は、使いおわったら、あついお湯であらいフキンで
ふいてしまうことが大切です。
長く使わない包丁は、うすく油を引いて、
新聞紙やかわいた布でつつんでしまいましょう。
・前文
人間は、いろいろな道具を使って生活しています。
そのなかでも刃物は、もっとも歴史の古い、基本的な道具といえます。
古代人たちは石の刃物を使って、肉を切り、木をけずり、
そして刃物以外の道具をつくりました。
現在のわたくしたちの毎日の生活にも、
はさみや包丁などの刃物は欠かすことはできません。
この本は、刃物の大すきなおじさんが、
刃物の歴史、刃物の科学、刃物の種類について語りかけています。
この本を読んだみなさんは、刃物とどのようにつきあったらよいか、
を感じとるにちがいありません。
・目次
1.くらしと刃物
2.刃物の誕生
3.むかしの包丁と包丁式
4.はがねと焼き入れのはなし
5.刃物はなぜ切れるのか?
6.包丁のいろいろ
・ステンレス鋼と刃物
7.はさみのはなし
8.はさみの秘密
9.おわりに(刃物の手入れと使いかた)
・著者
加藤俊男
1926年東京生まれ
早稲田大学理工学部金属学科卒。
現在、刃物の木屋専務取締役。
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