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山本兼一(2015)『おれは清麿』祥伝社.

   

・備忘録

刀匠、山浦清磨の生涯を描いた本。
小説という形ではあるが、
清磨の生き方・働き方、刀鍛冶の生き方・働き方が
生き生きと表現されている。

以下、参考になった文章を抜粋します。

P36
また短刀を見つめ、鍛えたときの気持ちを思い出した。
鍛冶場で鍛えているとき、たしかに天から神が舞い降りて
わが腕に宿ったほどの歓びと恍惚があった。
あの歓びと恍惚をどうしてもまた味わいたい。
一生あの満ち足りた感覚に浸っていたい。
それでこそ、この世に生まれてきた値打ちがある。
-やっぱり刀だ。刀鍛冶になろう。

P82
刀は命をあずける道具だ。その大切な道具が、
折れたり刃こぼれしたりするようでは、持つ者の命に関わる。
実際の戦場では、鉄炮足軽に切りつけたとき、
足軽が鉄炮で防ぐかもしれぬ。そのとき、折れたらどうする。
それ以上戦えぬではないか。
おぬしは鍛冶としてそんな無責任な刀を鍛えたのか

P115
「武士にとって刀は道具でしょうが、
わたしにとりましては、わたしそのものでございます。
わたしの中にあふれている志を込めて鍛えたいと存じます。
それは武家に迷惑でしょうか」
「志とは・・・?」
「強く、まっすぐ生きることにございます。」
うなずいた清音が、目を細めてやさしい顔になった。
「郷士とはいえ、そなたも武士だ。その志や大いに褒めたたえよう

P132
つねに鍛冶場の整理整頓をこころがけていた兄の真雄は、
道具は種類別にきちんとそろえて並べていた。

P152
播州や出雲の鋼はたしかに質がよい。
だが、おれには物足りない。光るばかりで、潤いがない。
鉄の力強さが足りないんだ。
おれは、生きた強い鋼を自分でつくる。

P179
-刀はおれだ。おれ自身だ。
そう思えば、打つべき刀の姿がくっきりと浮かんだ。
男なら、大地を踏みしめる足もとから、
脳天を突き抜けて天に突き立つ勇ましい心を持っている。
それをかたちにすればよい。
-おれの心を刀にする。
正宗ではない。兼氏ではない。康継でも虎徹でもない。
相州伝でも備前伝でも、美濃伝でもない。
誰に習ったのでもないこのおれの突き立つ志をかたちにするのだ。
そう想い定めれば、すんなり形が決まった。

P318
大筒、鉄炮を放っても、兵が最後に頼みとするのは腰の刀である。
おれは刀鍛冶だ。鍛冶として生きる意味をひりひり感じた。
操練は二日にわたって行われた。
腰につけた乾し飯を竹筒の水に浸して食べた。
夜は草に伏して眠った。操練の体験は正行のなかで強い力となった。
よい刀をたくさん鍛えるぞ。夢に出てきた金屋子様に祈った。

P343
-この刀は、おれだ。
自信をもって堂々と誇れる刀を鍛えたい。
そんなことをしきりと考えながら、鍛冶道具を整理した。
鞴をはずし、火床の粘土の壁を鎚で壊したとき、これからは誰にも頼らず、
自分の力で生きていくのだと自分に言い聞かせ、いささか感傷的になった。

P353
-とことんまで、納得できる刀を打つ。
それがおれの仕事だ、と自分に言い聞かせた。
なにも妥協せず、気を抜かず、できる限りのことをすべてやる。
それ以外に、満足できる刀を打つ方法はない。おれは愚か者だ。
そこで妥協したら、生きている値打ちのない人間になってしまう。

P357
「お武家は、やれ正宗だ、志津だと、古い刀を喜ぶが、
わたしはちっともそうは思わない」
古刀を褒めない刀剣好きに出会ったのも、初めてである。
「どうしてですか」
「そんな、誰が鍛えたか分からない刀に命をあずけられますか。
わたしならいやだね。命は知ってる人にあずける」

P389
「この刀はおれです。おれのこころです。
折れず、撓まず、どこまでも斬れる。
そうありたいと願って鍛えたんだ。」
・前文

「この刀はおれです。おれのこころです。
折れず、撓まず、どこまでも斬れる。
そうありたいと願って鍛えたんだ」
信州小諸藩赤岩村に生まれた山浦正行、
のちの源清磨は、九つ上の兄真雄の影響で作刀の道にのめりこむ。
隣村の長岡家に十八歳で婿に入るが、
刀に対する熱情は妻子をおろそかにさせるほどたぎるのだった・・・。
幕末最後の天才刀鍛冶、その波乱の生涯を描く!

・目次

1.小烏丸

2.志津

3.海津城

4.愛染

5.武器講

6.萩城

7.清磨一

・著者

山本兼一
1956年、京都市生まれ。同志社大学卒業
99年、小社『小説NON』短編時代小説賞を
「弾正の鷹」(同題書に収録・祥伝社文庫)でを受賞し、
2002年、『白鷹伝 戦国秘録』(祥伝社文庫)で長編デビュー。
04年に『火天の城』で第11回松本清張賞、
09年『利休にたずねよ』で第140回直木賞を受賞した。
14年2月逝去。

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