・前文
ひげ剃りの研究を始める際、
誰でもまず刃物について考えるであろう。
しかしまもなくひげについても考慮するようになる。
そして最後には皮膚のことまで調べないとおさまらなくなる。
すなわち、刃物、毛髪および皮膚の三つについて調べなければ、
本当にひげ剃りの研究をしたことにはならないものと思う。
同様に庖丁には肉を、爪切りには爪を、
医療用刃物には皮膚や筋肉あるいは骨を研究しなければならない。
こうした刃物を扱うための解剖学があるべきだと思い、
医学には全く素人のわれわれが筆をとった。
誤りもあるだろうし、書き足りないところもあるのでご教示されば幸いである。
文献を調査するにあたっていろいろご便宜をはかって下さった
名古屋大学医学部原教授、本校森、篠田両教官
ならびに岐阜大学医学部図書館の皆さん方、
累積する赤字に喘えぐ筆者に温かい励ましの御言葉と
絶大な支援をいただいた八幡製鉄大和久博士およびアグネ社の方々、
一九会をはじめ全国の熱心な方々ならびに
日本刃物工具新聞社の皆さんに厚く御礼を述べる次第である。
昭和44年9月
著者
・目次
1.諸言
2.顔
2-1.顔型分類法
2-1-1.目測的分類法
2-1-2.計測的分類法
2-2.顔の見方
2-2-1.フランクフルト水平面
2-2-2.デューラー水平面
2-3.非対称
2-4.体表区分
2-4-1.頭部と顔面部
2-4-2.頭頸部の細部
2-4-2-1.眉
2-4-2-2.眼瞼(まぶた)
2-4-2-3,睫毛(まつげ)
2-4-2-4.鼻
2-4-2-5.鼻梁
2-4-2-6.口唇(くちびる)
2-4-2-7.耳
2-5.頭部と顔面の計測
2-6.顔面筋(表情筋)
3.皮膚および付属器官
3-1.皮膚の区分
3-2.皮膚の厚さ
3-2-1.表皮の厚さ
3-2-2.真皮の厚さ
3-2-3.顔面の皮膚の厚さ
3-2-4.皮下脂肪
3-3.皮下脂肪
3-3-1.厚さの測定法
3-3-2.年令、性別による差異
3-3-3.環境による変化
3-3-3-1.気候による変化
3-3-3-2.職業による変化
3-4.皮膚の感覚
3-4-1.感覚点
3-4-2.同時
3-4-3.痛覚点
3-5.皮脂と汗
3-5-1.分泌作用
3-5-2.皮脂腺および皮脂
3-5-2-1.油性の皮膚
3-5-3.汗腺
3-5-3-1.汗腺の総数
3-5-3-2.温熱性発汗
3-5-3-3.精神性発汗
3-5-3-4.腋窩の発汗と腋臭
3-5-3-5.発汗器官の発達
3-5-3-6.汗の成分
3-6.毛髪
3-7.皮膚の老化
3-7-1.外界的因子
3-7-2.内分泌的因子
4.爪
4-1.爪の諸部分
4-2.爪の形
4-3.爪の彎曲度
4-4.自由縁の丸み
4-5.爪の伸び
5.皮革
5-1.原革の名称
5-2.皮の組織と成分
5-3.馬皮
6.肉
6-1.肉の構造
6-1-1.骨格筋
6-1-2.平滑筋と心筋
6-1-3.肉類の変化
6-1-3-1.死後硬直
6-1-3-2.自己消化
7.骨
7-1.骨の構造
7-1-1.骨質
7-1-2.骨髄
7-1-3.骨膜
8.軟組織および硬組織の物理的性質
8-1.軟組織の引張強さ
8-2.硬組織の引張、圧縮強さ
8-3.皮膚と骨の硬さ
8-3-1.皮膚の硬さ
8-3-2.骨の硬さ
8-4.皮膚の電気抵抗
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