・前文
当初、刃物に関する諸材料としてステンレス鋼・合成樹脂(刃物自体の材料)・
気化性防錆剤・ふっ素樹脂・天然砥石・人造砥粒などを書く積りであった。
ところがかなりの頁数を要することが判り、自費出版の関係上、
経費を枠内で賄うためにその大部分を割愛せざるをえなかった。
結局ステンレス鋼・天然砥石・人造砥粒に絞ったが、
それでも頁数の関係上、さらにかなりの部分を削減した。
これほどまでの大巾に削減しなければならなかったことは残念であるが、
いつかまた出す機会もあろう。しかしこれだけでも少しは研究の手掛かり、
議論の種にはなりうるであろう。
砥石に関して東京の佐野安太郎、秋山清、愛知県の浅野長幸、吉川明敏、
京都の原延吉、奈良県の根矢純三、今西治作、大阪の宮岡篤治、
文村聖志の諸先生方から貴重なるご意見が寄せられたが、
上記の理由から今回は掲載することが出来なかった。
ご厚意に感謝するとともに、お詫びする次第である。
研磨については他日出版をせねばならないと思う。
また、いろいろ教えて下さった大同製鋼の小畑英一氏、
前岐阜大学教授牛丸周太郎氏、本校の土田幸三郎、耕山菊郎両先生、
それにいままで本の販売に絶大なご協力をいただいた
本校篠田昭八郎先生、一九会を始めとする全国の理容界、刃物界の皆様方、
理容文化社、全理連および日本刃物工具新聞社の方々に深甚の謝意を表するものである。
昭和45年7月
著者
岐阜工業高等専門学校
執筆者 教官 内田広顕
実験協力者 当時学生(3期生) 村田昇 村瀬公一
・目次
1.諸言
2.ステンレス鋼
2-1.ステンレス鋼
2-1-1.フェライト系ステンレス鋼
2-1-2.マルテンサイト系ステンレス鋼
2-1-3.オーステナイト系ステンレス鋼
2-1-4.強力ステンレス鋼
2-2.刃物用ステンレス鋼規格
2-3.高炭素クロム刃物鋼
2-3-1.化学組成
2-3-2.顕微鏡組織および素材の履歴
2-3-3.焼入
2-3-4.焼戻
2-3-5.被切削特性
2-3-6.被研削特性
2-3-7.各種ステンレス鋼製刃物と炭素鋼製刃物の切れ味
2-3-8.耐摩耗性
3.天然砥石
3-1.天然砥石の歴史
3-2.砥石用岩石の種類
3-2-1.岩分の分類
3-2-1-1.火成岩
3-2-1-2.堆積岩
3-2-1-3.変成岩
3-2-2.火成岩
3-2-2-1.安山岩
3-2-2-2.石英粗面岩(流絞岩)
3-2-3.堆積岩
3-2-3-1.凝灰岩
3-2-3-2.砂岩
3-2-3-3.頁岩および粘板岩
3-2-4.砥石の分類
3-2-4-1.荒砥
3-2-4-2,中砥
3-2-4-3.仕上砥(合砥)
3-2-5.本山砥(ほんやまど)
3-2-5-1,砥石の調整
3-2-5-2.使用方法
3-2-6.名倉砥
3-2-6-1.使用上の注意
3-2-6-1-1.板目を使用すること
3-2-6-1-2.角に丸みをつけること
3-2-7.外国産砥石
3-3.砥石の硬さ
3-3-1.モース硬さによる方法
3-3-2.金属用硬さ試験機による方法
3-3-3.水滴吸収速度による方法
3-3-4.砥ぎ汁の色による方法
3-3-5.ヤスリによる方法
3-3-6.刃物の砥ぎ疵による方法
3-4.砥石の分析
3-5.砥ぎの実験
3-5-1.刃先の状態
3-5-2.砥粒と鉄粉の大きさ
3-6.平面の作り方
3-7.砥石の保管上の注意
4.人造砥粒
4-1.人造砥粒の歴史
4-2.主な砥粒
4-2-1.A砥粒とC砥粒
4-2-1-1.A砥粒
4-2-1-2.C砥粒
4-2-2.炭化硼素
4-2-3.バフ用砥粒とコンパウンド
4-3.砥粒の硬さ
4-4.砥粒の大きさ
4-5.レーザーの研磨
4-5-1.木砥
4-5-2.ガラス砥
4-5-2-1.ガラスの材質
4-5-2-1-1.石灰ガラス
4-5-2-1-2.鉛ガラス
4-5-2-1-3.硼酸ガラス
4-5-2-1-4.特殊ガラス
4-5-2-2.ガラス砥の形状
4-5-2-2-1.巾と長さ
4-5-2-2-2.厚さ
4-5-2-2-3.面取り
4-5-2-3.砥面調整
4-5-2-3-1.準備
4-5-2-3-2.作業方法
4-5-2-3-3.荒摺り
4-5-2-3-4.仕上摺り
4-5-2-4.砥面検査方法
4-5-2-4-1.顕微鏡検査方法
4-5-2-4-2.反射検査法
4-5-2-4-3.直線定規による平面度の測定法
4-5-2-5.砥面の再調節
4-5-2-6.研磨方法
4-5-2-6-1.天然砥石を用いる方法
4-5-2-6-1-1.準備
4-5-2-6-1-2.天然砥
4-5-2-6-1-3.砥面の粗さ
4-5-2-6-1-4.研磨作業
4-5-2-6-2.人造砥粒を用いる方法
4-5-2-6-2-1.準備
4-5-2-6-2-2.砥面の粗さ
4-5-2-6-2-3.研磨作業
4-5-2-6-3.天然砥石と人造砥粒を併用する方法
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