機械刃物や工業用刃物のオーダーメイドはクオンカット。切れ味・耐久性に優れる薄刃小型機械刃物を短納期でお届けします。関の100年機械刃物企業 株式会社エドランド工業  0575-22-0451 機械刃物や工業用刃物のオーダーメイドはクオンカット。切れ味・耐久性に優れる薄刃小型機械刃物を短納期でお届けします。機械刃物のお取引について

滝沢敏久(1965)『理容刃物工学』全国理容学園 中央高等理容学校理材部.

   

・備忘録

1965年の古い本であり、絶版状態の本。
理容刃物工学と理容刃物に限定しているような記述だが、
刃物全般に関しての基本的なことが、100ページ程度で一通り学べる。

特に1章後半に、切断機構に関して詳細に述べられている。
切断機構に関して述べられている本は、
世の中に、なかなかないので貴重。

以下、参考になった文章を抜粋します。

P13
刃先は、クサビの作用で毛を切断するのですから、刃先にうける抗力は意外に大きい。

P17
モース硬さでは、硅酸と工具鋼の焼き入れ組織マルテンサイトは同等。

P34
刃物の材料鋼は硬さが必要なので、炭素量は1%~1.3%

P35
刃物で物体を切断する際、刃先は大きな抵抗力を受けるので、
抵抗に負けないよう硬くしないといけない。
ところが、硬いものは外力に対して効力が大きく、
容易には破壊しないが、いったん弾性限界を超えると一気に破壊する。
そこで、針金のような曲げても折れないねばり強さも必要になってくる。

P41
鋼は素質と環境がよくないと決してよい刃物にはならない。

P56
靱性とは、
弾性限界を超えても容易に破壊しない性質。
衝撃を受けても容易に破断しない性質。

P57
脆性とは、
抵抗力が大きく変形しにくい性質。
弾性限界超えると急激に破壊する性質。
靱性の反対。

P57
ねばり強い材料ほど衝撃値は大きく、
もろい材料は衝撃値は小さい。

P85
日本刀の刀匠は、温度計のない時代に、
火色を見て変態点を経験だけで判断して焼入れした。

P86
焼き入れ水の温度は、20℃~30℃位がえらばれており、
日本刀の焼き入れでは、この温度のことを湯加減といって、
秘伝とされてきた。

P109
着鋼鋏は、低炭素鋼に刃物鋼を鍛接したものであり、
古来日本刀の特長である、合わせ鍛えを鋏に応用したもの。

P110
日本刀は実戦の打撃で少しくらい曲がっても、
自力で元の姿に戻るといわれるくらい
強くてしなやかな性質がある。


・前文

理容師法第1条に
「この法律で理容とは、頭髪の刈り込み、
顔剃りなどの方法により容姿を整えることをいう」
とあるように、理容の業務は鋏、レーザー等の刃物の使用により
容姿を整形することを主技とする業務で、したがって、
この業務において刃物のもつ意義はきわめて重要なもので、
これを使用する理容師は当然、鋏、レーザー、クリッパー等、
これら器具についての刃物工学に関する、
基礎的知識を持っていなければならず、
以上の理由から理容師であり、この道について
長年の研究を続けている滝沢敏久先生にお願いし、
本書を刊行するに至った。

本書の執筆に当たられた滝沢先生および
本書の刊行に当たってご協力くださった多くのかたがたに対し、
衷心より感謝いたします。

昭和40年4月1日

理容科学研究所

・目次

1.刃物工学概要

1-1 刃物の切れ味の要素
1-2 研磨の影響
1-2-1 天然砥の結晶構造
1-2-2 砥粒の性質
1-2-3 砥石の切削作用
1-3 原料鉄熱処理の影響
1-4 切断機構<クサビの原理>
1-4-1 ポイントアングルの影響
1-4-2 斜行の影響
1-4-3 刃物の構造の影響

2.金属材料の基礎知識

2-1 金属の性質
2-2 金属の物理的性質
2-3 金属の機械的性質
2-3-1 かたさ
2-3-2 ひっかき・硬さ尺度
2-3-3 ビッカースのかたさ試験法
2-3-4 強さ
2-3-5 靱性
2-3-6 脆性
2-3-7 延性・展性
2-3-8 衝撃値
2-3-9 摩耗
2-3-10 腐食

3.金属の組織

3-1 金属の組織
3-2 結晶粒の構造
3-3 結晶の課程
3-4 合金
3-4-1 固溶体
3-4-2 金属間化合物
3-4-3 共析組織
3-4-4 合金の通性
3-4-5 合金の塑性変形
3-4-6 転位
3-4-7 金属の再結晶

4.炭素鋼

4-1 製鋼
4-2 炭素量による鉄の分類
4-3 炭素鋼の性質
4-3-1 物理的性質
4-3-2 炭素鋼の機械的性質
4-3-3 鋼の温度と機械的性質
4-4 鉄・鋼の変態
4-5 鉄・炭素系平衡状態図

5.鋼の熱処理

5-1 焼き入れ
5-2 焼き戻し
5-3 冷却のしかたと組織の関係
5-4 焼き鈍し、焼き準し
5-5 高級刃物鋼におけるセメンタイトの球状化焼鈍
5-6 高級刃物鋼の焼き入れ、焼き戻し
5-7 鋼の自然成熟(時効果)と切れ味の関係

6.刃物鋼

6-1 刃物鋼の組成
6-2 鋼中の不純物の影響
6-3 砂鉄系原料鉄

7.理容刃物の熱処理

7-1 レーザーの熱処理
7-2 鋏の熱処理
7-2-1 着鋼鋏
7-2-2 全鋼鋏

8.ステンレス鋼

9.鋳鉄

9-1 ねずみ鋳鉄
9-2 黒心可鍜鋳鉄
9-3 球状黒鉛鋳鉄

・著者

滝沢敏久
大正9年 長野県に生まれる。
少年時代陸軍航空廠に勤務、
立川陸軍航空整備学校技術科を出て、
戦争中は航空技術に専念していた。
戦後、家事の理容界に入った。

43期師範科卒、
同36年第8回理容学術会議において、
論文クリッパー用円型研磨盤と
研磨技法の研究で学術賞、
同37年4月発明週間に、
創意工夫功労賞、科学技術庁長官賞を受賞した。
現在有限会社滝沢理髪館店主。
中央高等理容学校師範科講師。

「クオンカット刃物文庫(著書編)」へ戻る

機械刃物の設計「目次」へ戻る






こちらの記事もどうぞ!


機械刃物や工業用刃物のオーダーメイドはクオンカット。切れ味・耐久性に優れる薄刃小型機械刃物を短納期でお届けします。お問合せはこちら 株式会社 エドランド工業 TEL0575-22-0451 FAX0575-24-1632 お問合せフォームへ

機械刃物や工業用刃物のオーダーメイドはクオンカット。切れ味・耐久性に優れる薄刃小型機械刃物を短納期でお届けします。このページのトップへ